初心者絵師へのおすすめ基礎練習いろいろ

通常、多くの絵師が最初に絵を描きだすのは2才から4才くらいのときですが、「もっと本格的にやりたいな」と目覚めるのは早い子でも8才くらいです。
個人的には12才前後がもっとも多く、18才を超えての覚醒は珍しいという印象です。
(中には俺みたいな大人になってからって人もいますが)

ですが残念ながら、その後3ヶ月以上、練習が継続する子はほとんどいません。
覚醒年齢が高いほどその傾向は強まります。
理由は単純明快で、基礎練習がとにかくひたすらウザいからです。

「自分だけの素敵な絵が描きたい」という至極シンプルな動機でやり始めたはずなのに、やることといったら本当にひたすら模写・模写・模写・模写・模写・模写・模写・模写・模写・模写・模写・模写・模写・模写・模写・模写・模写!
ヤギが草食ってんじゃねぇんだよ!!(怒
しかもそんなことを1年以上も続けて、それでようやく「基礎の基礎」が完了ってんですから、これでイヤにならなかったらホントにマゾっすよ。

つまり世のプロ絵師は100%マゾということに
皆さん危険人物には注意しましょう (´・ω・`)

とはいえ、上手になりたいと思ったらそれは我慢するしかありません。
こればっかりはどうしようもないです。
基礎練習はつらいんです。
そういうものなんです。

このブログも、もともと超々初心者向けと銘打ってはいるものの、そうはいっても「模写ができない」レベルの人に、そんなに大量のトピックスは用意してあげられないのが現状です。
なぜなら、基礎ができてない人には、とにかく基礎練習をやってもらうしかないからです。
もちろん、効率的に面白いミッションを次々に思いつければそれが一番ではあるのですが、それでも独学とかだと限界があります。

ですがそんなつまらない基礎練習でも、訓練メニューを工夫することで、少しはつまらなさを軽くすることはできるかもしれません。
というわけで今回は、個人的に知る範囲で色んな基礎練習のやり方をリストアップしてみました。

どんな練習方法にもメリットとデメリットがありますから、色んなことを順繰りに試すことで、自分が飽きてしまうのを防ごうってわけです。

1. 模写(デッサン)

通常の多くの初心者に一番効果的なのが模写です。
イラストや写真を見て、それをそっくりそのまま真似するという練習。
モデルにするものは何でもいいのですが、個人的には描きやすそうだなと感じるものをおすすめしています。

とにかくそっくりに描くことが大事ですが、初心者で特にまだ自信がついてない段階の人は、他人の出来栄えにいちいち一喜一憂しないという点にも注意してください。
大学生とかがすっごい上手なデッサンとかブログにアップしてるのを見て、「ここまでできなきゃダメなのかー!」とかショック受ける人がいますが、違います。
練習ですから、初心者と上手な人とで実力に差があるのは当たり前のことです。
また、その人だって今までずっと培ってきた努力があるからこそ上手なのであって、その人の過去の努力を否定するのはとても失礼なことです。

ただし、自分が上手にできたときは、素直に喜んでおきましょう。

個人的に知る中では、模写は素人から初心者にランクアップするという段階においては一番効率がいい練習です。
中には「実はクロッキーの方が効率がよかった」という人がいてもおかしくはありませんが、普段は「何をやったらいいか分からないなら模写をしましょう」と薦めています。

ですがまぁ、なんせ他人の真似をしてるだけですからとにかく飽きます。
最初のうちは1枚描くのに1時間とか、場合によっては数時間以上かかったりもしますし。
なのにその結果できあがったものは「猿真似」ですから、飽きない方がおかしいです。
ある程度のスピード感が得られるようになれば、1枚数分で終わらせられるようになるのですが、その段階に達するまでにとにかく時間がかかるのが模写というものです。

ですから、「描きやすいもの」「真似やすいもの」「すぐ描けそうなもの」から順に入っていって、徐々にレベルをあげていきましょう。
やたらめったらランダムに選ぶよりやりやすいはずです。

(ちなみに、世の中には「模写はよくない」と声高に言う人がいますが、普通に間違いです。模写は何百年も前からあるごく普通の基礎練習で、よくないということは特にありません。ある程度上達したのに模写ばっかりやってるというのはよくありませんが、それは初心者には関係ない話です)
(それと「デッサン」と「模写」を違う意味で使う人もいますが、これは言葉の解釈の仕方の問題で、たまたまその人がそう考えているだけです。一番多いのが「実在するものを模写することをデッサン、イラストを模写することを模写」と呼ぶパターンですが、辞書的には「デッサン」と「模写」は同じ意味です)

2. 覚え模写

で、その応用型ともいうべき練習方法が覚え模写。
どこかの絵師さんが開発したのだと思いますが、

1. 普通に模写して暗記
2. 暗記した内容をもとに空で描く
3. 1. と 2. を比較し、ある程度似るまで繰り返す

というやり方です。
とにかく「特定のキャラクターの特徴をつかむ」という1点のみに特化した練習方法です。
特徴をつかむ訓練は、通常であればある程度実力がついてからでないとできないのですが、それを初心者のうちにやってしまえるのは大きなメリットといえるでしょう。

ただし同じイラストを何枚も描くので、通常の模写に比べても輪をかけて飽きやすいのがデメリットとして挙げられます。
とはいえ「とにかく同人誌を早く出したい」と思ってる人にはいい練習で、急ぎたい人向けといった感じでしょうか。

3. テーマを模写する

これは俺が自分で開発した練習方法です。
通常の模写は、オリジナルのイラストをそっくりそのまま真似しますが、それに対してこの練習では絵のテーマだけを真似て、半分オリジナルの絵を描きます。

絵の要素ごとの形や配置の意味を理解してテーマを読み解き、「自分だったらこう描く」というふうに描きなおすのがテーマの模写です。
悪い言い方をすると「オリジナルのイラストのいいところは継承しつつ、悪いところにイチャモンつける行為」ともいえます。ですから、オリジナルよりも上手に描けないとやる意味がありません。
ですが、プロの発想力を盗む上では効率のいいやり方ではないかと思います。

普通の模写をやっている基礎段階の人にはまず無理でしょうから、通常は「何でもいいから描きたい」から「何を描こうかな」に気持ちが移ってきた段階で、たま~にという感じで挑戦するといいのではと思います。

4. 速写(クロッキー)

個人的には、「デッサンに飽きたらクロッキー」というのが定番メニューでした。
3分とか5分とか時間を決めてストップウォッチで計り、時間が来るまでの間に全部描きあげるというやり方です。
最近は30秒とか、場合によっては5秒なんてやり方もあるみたいです。

デッサンばかりやっている人で、「細部にこだわりすぎて完成後に歪みに気づく」というタイプの人は、作為的にたまにクロッキーを挟むといいです。

これもモデルは何でもいいのですが、大まかな形をつかむための訓練なので、どちらかというと写真や実在の人物をモデルにした方がやりやすいでしょう。
また、あらかじめ時間を決めるので「友達にモデルを頼みやすい」という特徴もあります。
(デッサンのモデルはプロでもキツいですからね)

ただし、細部を詳細に観察する力は身に付きにくいため、クロッキーばっかりといった偏ったプログラムはNGです。
(なのにうちの会社の絵部は、毎回サルみたいにクロッキーばっかりやっておる。解せぬ)

5. トレース

中級者以上の人に嫌われがちなトレースですが、他の練習が一切合切とにかく何をやっても効果があがらない、という人には向いています。

正直言ってしまうと指の筋力アップくらいの役にしかたたないのですが、とはいえ指の筋肉は絵師にとって生命線であり、これがないと思った通りの正しい線は引けません。
ですので、まずはトレースで「線を引く」という感覚を身に着け、そこから模写に入るというのもやり方の1つとしてはいいと思います。

とにかく効率の悪い練習なのでこればっかりというのはダメですが、「模写で苦手なポイントを克服する目的で部分的に」とか「精神的に疲れたときに気軽に」といったやり方もあるかもしれません。

6. 丸を描く

これはなぜか、トレースとは逆に意外と有用と言う人がたまにいます。
とにかくひたすら「美しい丸」を描くだけの訓練です。

最終的な訓練の狙いそのものはトレースと全く一緒なんですけど、「トレースはよくないけど丸を描く訓練はOK」と考える人もいてるようです。
ま、ぶっちゃけ都市伝説みたいなものなんでしょうけど……。

人間の手は、構造の関係で常にプルプルと震えているため、「頭で思った通りの線を引く」ことは理論上不可能です。
とはいえ、そんなこといってあきらめてたらいつまでたっても綺麗な絵は描けないので、可能な限り理想に近い線を引く訓練になります。

これもトレースと一緒で効率は悪い練習ですが、空いた時間に上の空でもできるというメリットがあります。
なお、純粋な丸ではなく「妖精の迷路」とか描いても一緒です。

(妖精の迷路とは、友達とおしゃべりしながら描くような、無意識的に描くイラストの総称です)

7. スピードドローイング

クロッキーをある程度できるようになってきた人が、クロッキーに色も付けてしまおうというのがスピードドローイングです。
時間は、プロの場合で1時間とか1時間半とか。

慣れない人は2~3時間くらいでしょうか。
自分で時間を決めてクロッキーで下描きをして、それに絵の具やペイントソフトなどで色を付けます。
これも、タイマーで計って決められた時間内にきっちり終わらせることがポイントです。

プロの世界のモノづくりは「スピード感」も求められ、コンセプトアートなんてものにそうそう時間など使っていられません。
とはいえそれなりの品質も求められるので、そのための訓練といったところです。

挑戦するのはタダなので興味があればやってみるといいと思いますが、ただし初心者にはけっこうレベルが高いので、別に無理にやることではないと思います。

8. 風景スケッチ

効率的なプログラムを組み立てて、最善のスケジュールで挑んだとしても、いつかは練習に飽きる日が来ます。
ですのでたまには外に出て風景を描いた方がいいです。

風景のスケッチはパースの訓練にもなるし、それなりに効率のいい練習ではあるので、気分転換のつもりでたまにはやってみるといいでしょう。
特に背景の練習をしている人は、定期的に時間を決めてやった方がいいです。

スケッチのコツは、
1. 最初は横にのっぺりした被写体から入る(校舎や大きな家、または倉庫などもおすすめです)
2. 目に映るもの全てを模写しようとせず、デザイン的に邪魔だと思ったらバンバン省略する
3. ただし描くと決めたものはとことんまでていねいに描く
こんな感じです。

9. 美術鑑賞

他人の絵をただ「見る」のも列記とした絵の練習です。
萌え絵師のイラスト集でもいいし、美術史の本とかでもいいし、自分が興味を持っている分野のことを勉強するのも大事です。
練習もしないで見てるだけの人はただの「マニア」ですが、とはいえマニアにすらなれない人が絵師になることなどできないというのも真理です。

それともちろん、たまには今まで全く興味がなかったジャンルのものを見てみるといいと思います。


基礎練習のコツは、やってることは毎日一緒であっても、「同じ気持ちで繰り返さない」ことです。
色んな練習メニューを順繰りにやるんでもいいし、日によって「力を入れるポイント」を変えるだけでも構いません。(昨日は目の練習をしたから今日は髪をやろう、とか)
ミッション」として様々な目標があると、作業的には全く同じことであっても精神的に楽だったりもします。

様々な練習を効率的に組み立てて、1日でも早く「描きたいものが描ける」状態を目指すことです。

3 thoughts on “初心者絵師へのおすすめ基礎練習いろいろ

  1. 通りすがりの初心者

    お邪魔します。先日こちらのサイトを発見し、参考にさせていただこうと企んでおります。こちらのサイトさんはところどころにプッと笑わせて下さるような語りなので読みやすいです。
    私は本当に初心者中の初心者で何をやっていいかもわかりません。とりあえず模写をやろうとカタログなどをみて数枚書いてみたのですがどうしてもごまかしてしまう所や、苦手だから注意しなければと思いつつも次にまた同じところが気になったり…
    模写やクロッキー、デッサンなどで具体的なやり方や注意点などがあれば差し出がましいのですが、アドバイスなどを下さると助かります。
    長文失礼いたしました。

    1. コメントありがとうございます。
      そうですね。初心者であればやはりどうしてもごまかしが出てしまうと思います。

      なぜなら、指の筋肉がまだ「絵師向け」でない人は、自分が狙った位置に鉛筆を下すことができません。
      狙いは必ず外れます。鉛筆を上げて下すまでの間に指が震えてしまうからです。
      だから、そうならなくなるまで指を鍛える必要があり、そのためにはとにかく数をこなすしかどうしようもありません。

      とはいえ、クッソつまんない基礎練習を何のためにバカみたいに繰り返しているのか、その理由を意識するだけでも成長スピードは違います。
      デッサンをするときは、「指の筋肉を鍛えること」「被写体を正しく描写すること」を意識してみてください。

      1. 通りすがりの初心者

        お邪魔致します。通りすがりの初心者と申します。
        コメントありがとうございました。
        ではしばらくは手を鍛えるためにひたすら無心に模写しまくる方針で行こうかと思います。
        とりあえず手指など細部(でしょうか?)は慣れてから気にするということで、大まかな形があっていれば良しという甘い基準で行こうかと。
        また不安感に襲われたら申し訳ありませんが、お邪魔させていただきます。
        ご指導ありがとうございました。

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