よりよいデザインをするために

デザインというものに慣れてない人は、その多くが、頭の中だけでやろうとしているのではないか、というのが個人的な印象です。
当サイトでも、一応コラムとしてはデザインのやり方を掲載はしました。
ですが紹介したやり方だと、依然として頭の中での作業の方が圧倒的に多くなってしまったり、または人によっては方法論として性に合わないかもしれません。

ぶっちゃけ、そもそもデザインなんて頭の中でやるもんじゃないです。
それはカンだけを頼りにイチかバチかでデザインしているのと変わりません。

そこで今回は、できるだけ頭の中での作業量を減らし、なるだけ紙ベースでデザインを行うためのアイデアを紹介します。

1. ターゲット設定を行う

ターゲットというのは、つまり対象となる読者(または絵を見る人)のことです。

世の中のあらゆるデザインにおいてとても重要なことなのですが、絵師向けのデザイン教則本(モンスターデザインとか、キャラクターデザインとかの本)ではほとんど触れられません。
その手の本はだいたいサンプルとチュートリアルが書いてあるだけということが多く、どういう気持ちで、どういう手順で、といった「心構え」や「考え方」に踏み込んだ本は、個人的には見たことがありません。

通常、人間がいわゆる「デザイン」と呼ばれる行為を行うときには、それがどのようなデザインであろうとも、必ず「誰に」「何を」伝えたいのかということを考えます。
ようするに、いつもイラストを描くときに行う「テーマ設定」と同じことです。

この世の全てのデザインは、そもそも「誰かに」「何かを」伝えたいから行うのであって、伝わらなくていいのなら適当でいいんです。
人間は「文章」というものを誰かに何か言いたいから書く、イラストを誰かに何か言いたいから描くのと同じで、デザインだってそうなんです。

キャラクターデザインの場合は、通常は「対象読者に」「かわいさ(orカッコよさ)を」伝えたいのだと思いますが、とはいえ読者がどんなキャラクターをかわいい(カッコいい)と思うかは年齢・性別・立場によって様々だし、同じカッコよさでも「中二病的カッコよさ」と「大人のカッコよさ」はやっぱり違います。

また、オタク向けに特化しすぎたデザインを一般向けに出すと老害ども……もとい、人生経験豊富な方々から「卑猥すぎる」と苦情が来てしまいますし、一般向けすぎると無難すぎてヒットさせられません。
なので、ターゲット層の人達が好むデザインを作為的に狙っていく必要があります。

ですので、たとえば「男子中高生をターゲットに、エロい女性キャラを」とか、「大人向けに、クールなキャラを」といった感じで設定しないと、だいたい巧くデザインできないのです。
そういう設定がなくても何となくデザインできてしまう人は、頭の中に無意識にターゲットを作っているだけです。
好むデザインが人によって違う以上、ターゲット設定は絶対にせざるをえないはずだからです。
(アマチュア時代ならターゲット設定が無意識でも問題ありません。が、プロはそのような言い訳は通じませんので、それはご注意のほど)

また設定する際には、ターゲットになる層の代表として、知り合いや友人など、実在する人物を1人任命することも有用です。(自分の頭の中で勝手に任命すればよく、別に任命式とかしなくていいので)
同じ「男子中高生向けのエロい女性キャラ」でも、おっぱい星人向けの場合とヒンヌー教徒向けとでは背格好が真逆になるので、ターゲットを具体的な人物の形でイメージすることで、そのブレをなくすわけです。
実際に人となりを知っている人を設定することで、「その人がどんなデザインを好むのか」「どういうデザインにすれば分かってもらえるのか」がイメージしやすくなります。

2. ウォーミングアップスケッチ

デザイン作業を行う前に、頭の中を「デザインモード」に切り替えるためのウォーミングアップを行うことがあります。
別に誰もが必ずやるわけではないでしょうが、巧く興が乗らないときなどには有用です。
なるだけ積極的にやるようにした方がいいでしょう。

やり方は、これからデザインしようとする対象について、ラクガキ程度のスケッチを行います。
この段階ではそれほど深くは考えず、思うままに描くのがポイントです。
別にいきなり完成品を作ろうとしているわけではないので、「アイドル」のキャラクターデザインをしようとしているときに「ゾンビ少女」の絵を描いたり、または「筋肉少女」を描いたり、「昔アイドルだった風おばさん」を描いてみたり、まぁ、頭をアイドル一色にしてしまえれば何でもいいんです。
あとでアイデアとして流用できるよう、オーソドックスなものから突拍子もないものまで、色々描いた方がいいかもしれません。

量も、何十枚何百枚と描く必要はなく、自分の頭が切り替わったことを感じられればそれでOKです。
デザイン作業に不慣れな人は「切り替わったことを感じる」ことが難しいかもしれませんが、そこはあまり深く考えず、「これくらいかな」と思ったら実作業に移ってみましょう。

3. 消しゴムはなるだけ使わないことについて

デザイン作業をするときには、基本的に消しゴムを使わずにペンだけでとにかく大量にデザインし、その中から最良のものを選んでさらに推敲を重ねるのがいいとされています。

とはいえ、先生や先輩からの「なるだけ消しゴムは使うな」というアドバイスを、あまりにも過剰に受け止めてしまう人がいます。
たとえば俺とかね。

学生時代は、デザインするときに消しゴムを使うことは絶対にやってはいけないことだと思っていました。
ですから、学生時代はデザインが全くできなかったんです。

そうじゃなくて、消しゴムを使わないとは、「せっかく描いたものはなるだけ消さない方がよい」という話です。
今は「いまいち」だなと思っても、あとで別のアイデアと組み合わせることで使えるかもしれません。
ですから、メモとして一応残しておいた方がいいのです。

とはいえそうはいっても、だからといって消しゴムを全く使わなければ、「1ヶ所間違えただけで全部描き直し」なんてことになってしまいます。
それではあまりにも手間がかかりすぎるし、そんなことを初心者に強要したら委縮してしまいます。
なので、消しゴムは時間短縮の妨げにならない程度に我慢する、くらいがちょうどいいでしょう。
つまりかなりの上級者でないと、消しゴムを全く使わないのはほとんど不可能ということです。

3. そもそもどうやって「思いつく」という行為を行うのか

んで。
まぁ、デザインに限らず何でもそうですけど、ある程度経験を積んだ人がイヤというほど思い知るのは、「そもそも思いつくまでが難しい」ってことですよね。

デザイン関連の教則本を読んだ人のほぼ100%が、「だーかーらぁ、それを思いつくまでをどうやるんねん!」というツッコミを心の中で入れているはずです。
デザインの教則本を謳っていながら、最初の1ページ目にデザインが完了したイラストが描いてある本も、世の中的に珍しくありません。

うんうん唸ってたって絶対思いつかないであろうものを、そもそもどうやって思いつくのか。
そこが「発想」という行為の一番難しいところです。

だって、そういう発想とかが得意な人に聞いても教えてくれませんからね。
俺だって「そんなくっだらないスベりネタとか、どうやって思いついてんの?」ってよく聞かれますけど、自分でもわっかんないですもん。
なんかね、「サドンデスの反対はうどんです」とか「ブラームス、お前もか」とか「なぜテストで山を張るのか。そこに山があるからだ。」とか、勝手に頭に浮かんでくんの。
「全力でスベりにいくの止めた方がいい」とも言われるんだけど、ボブスレーは滑るスポーツなんだからしょうがないじゃん?
不可抗力です。不可抗力。不可抗力係数3.14くらい。

で、こういったことについては、20世紀の前半くらいまでは「先天的にそれができる人と、できない人がいる」と思われていたのですが、近年では「脳みその使い方自体にコツがあって、それが分かれば誰にでも何でも思いつくことができる」ことが分かってきました。
それがいわゆる「発想法」と呼ばれる方法論です。

ビジネス関連の本なんかでよく見かける言葉ですが、不思議なことに、それが一番必要なはずの絵師向け本にはそういうことは書かれていないか、または暗黙的にしか記載がないことが多いです。

この発想法というヤツは、基本的にどんなジャンルのものにでも応用することができるものです。
たとえばイラストデザインの場合には、以下のような方法が考えられます。

1. 2つのリファレンスを混ぜる方法

デザインする際に、参考にするために集めた資料のことを「リファレンス」といいます。
デザインのことを何も知らない素人ほど、このリファレンスを集める作業を嫌がり、自分の頭の中にある知識だけで何とかするのが正しいと思っています。
ですが実際には、参考資料を集めることはプロが普通に行っていることであり、この行為を示すリファレンスコレクションという言葉もあります。
(リファレンスコレクションをしないデザイナーの方が質がいい、という統計自体はあるようですが、それは「過去に十分なリファレンスコレクションをしているデザイナーの方が、新人よりも腕が立つ」といってるのと同じことです)
 
もっともシンプルなデザイン方法は、集めたリファレンスコレクションの中から無作為に2つを選び出し、ランダムに混ぜてしまう方法です。
新しいモンスターを考案する場合などに、たとえば「やぶ蚊」と「象」のパーツをごちゃ混ぜにすれば、ほんの数分で未知の生物が出来上がってしまいます。
この方法は、比較的短時間でデザインができるほか、「突飛さ」が大事な場合にも有効な方法です。
 
ですが、デザインの基本である「誰かに何かを伝える」ための芸術表現としては使いづらい面があります。(出来上がる結果は比較的ランダムだから)
どちらかといえばたくさんのモンスターやたくさんのアイテム、モブキャラなどが必要な場合に、数増しのためにデザインするときに便利です。

2. ブレスト

ようするに「ブレインストーミング」のことですが、思いついたものをとにかく何でもメモして大量にアイデアを出し、その中からステキなものを後で選ぶという方法です。
どちらかといえば、大人数で1つの物事を発想するときに有効な方法ですが、1人でやっても特に問題ありません。
発想法として有名なため、これを基にした方法論は世の中的にたくさんあります。
 
ブレストは、脳の機能をかなり効率的に利用できる点や、事前のリファレンスコレクションが必要なくサクッと作業に入れることも魅力です。
 
自分の頭の中にある知識だけでデザインを行うためデザイナーの「地」が出やすく、「魅力」が重視されるものをデザインする場合に比較的向いています。
ですが、突飛さが必要な場合には、特に1人で行うときほど、ブレスト単体で行ったデザインはあまり使いものにはなりません。
そういうときは、他の方法と組み合わせる必要があります。

3. ベースとモチーフを組み合わせる方法

以前のコラムで紹介したのがこちらの方法になります。
まず何のデザインする対象の「典型的なリファレンス」を探してきて、そこにモチーフの一部や、モチーフを連想させるパーツを付与していく方法です。
 
デザインする対象が比較的はっきりしており、「既存のものにさらに魅力を追加する」という目的の場合に有用な方法です。
いかにも「デザイン作業っぽいデザイン作業」であるため、慣れない人が最初に練習としてやるにはいいかもしれません。
 
ただし、モチーフっぽさを適度に隠す必要があり、参考にしたモチーフが何なのか分かりやすくなりすぎるとダサい印象になります。
なので上手にやるにはそれなりに慣れが必要です。
(それはつまりダサさを全面的に出したい場合に便利ってことでもあるわけですが)

4. 現実的な制限を追加していく方法

まず最初に設定が決まっていて、その設定に基づいてデザインする場合に使える方法です。
たとえば「特殊な環境で生きている生き物が、実際に存在しても矛盾がないようにしたい」とか、「実際に作ってもちゃんと動く機械のデザインをしたい」といった場合に、有用です。
 
・隠れる場所の少ない草原に生きる生き物は、獲物/敵を素早く見つけるために目がいいはずだ
・高い山の上に生きる生き物は、生まれつき高山病に対する対策を持っているはずだ
・自動車のエンジンには、周辺機材として燃料ポンプ、スターター、オイルの循環系、冷却系が必要なはずだ
・二足歩行ロボットは、ひざの関節がサスペンションを兼ねた方が安定するはずだ
 
こんな感じで「こうなるはず」という知識を詰め込むことで、デザインに厚みをつけていきます。
ただし、デザインするものに対する深い知識が必要なため、この方法論にあまりにも傾倒しすぎるのも問題です。
また基本的にはデザインに「機能美」を追加するための方法なので、この方法論ばかりを重視しすぎたりするのもよくありません。

5. テクノロジーファースト法

言葉としては比較的新しいもので、「すでに出来上がっている製品をどう売っていくかを考える方法」という意味です。
とはいえ、制作現場では昔から行われてきた方法です。
何か、絶対に守らなければいけない制約(キャラクター設定等)があって、その設定ありきでデザインを行います。
やり方自体は「4. 現実的な制限を追加していく方法」とよく似ていますが、その制限を作ったのが自分達である、という点で違いがあります。
 
要は、「このような設定があるのだから、絶対こうなるはず」という観点でデザインするわけです。
たとえば、「狼の住む森のふちに住んでいるのだから、赤ずきんちゃんも銃の扱いにも多少は慣れているはず」といった感じです。
 
キャラクターデザインの場合、すでにデザインされたものをブラッシュアップするときに使ったり、もしくは逆にデザイン前のベースとなるものを作るときに使うといいのではと思います。

これらの方法は全て、ケースバイケースでどれか1つだけを使うのではなく、創意工夫して複数の方法を織り交ぜて用います。
どの方法にもメリット・デメリットがあるので、混ぜることでデメリットを相殺し、メリットを増幅するわけです。
どれとどれを組み合わせるかも、デザインの目的によって変わってきます。

ただし上手な人がデザイン作業するところを見学させてもらうと、上記のような行為を行っているようには見えないはずです。
彼らはそういうことを全て頭の中でフルオートでやるからです。
俺もスベりネタを考えるときはほぼ無意識です。
でもそれは、俺がネタを考えることに関して20年近い経験を持っているからで(経験を積むこと自体、無意識にやってたわけですが)、脳内に作られた発想回路が、上記のような方法論を自動的に実行しているのだと思われます。

ですからデザイン作業に慣れてない人が、時間をかけて泥臭い作業を、かつレベルの低い失敗作を何度も作ってしまいながら繰り返すのはしょうがないことです。
そういう行為が、プロ級のデザインをするための下積みとなっていくからです。

また「4. 現実的な制限を追加していく方法」だけでなく、他の方法についても、デザインする対象についてある程度の知識を持っていることは前提です。
機械工学のことを何も知らない人が自動車のデザインしても、現実感のあるものが描けません。

とはいえ、だからといってめちゃくちゃ詳しくないといけないかってぇと、別にそんなことはありません。
戦場を舞台にした物語やイラストの作者が本当に兵士である必要はないし、魔法使い同士の戦いを描いた物語の作者が魔法使いである必要も特にありません。
(本物の兵役経験者が描いた戦争マンガとか、メッチャ説得力ありそうですけどね。でも「生々しすぎてカッコよさがない」ものも多いんですよ)

「兵士」とか「魔法使い」といった概念が好きで、常日頃から研究している必要はありますが、それは単純に、自分がデザインしようと思っているものに対し愛を持っているかどうかの話です。
好きでも何でもないものをデザインしたいなんて思う人はいないでしょう。

その意味では、やりたきゃやってみればいいだけのこと、とはいえるかもしれません。
まぁ、デザインなんて紙と鉛筆があればできることですからね。
やりたきゃやればいいんです。

簡単なデザインのやり方

世の中の多くの同人絵師は二次創作をやることが多いので機会自体は少ないかもしれませんが、とはいえデザインに興味がない人はいないでしょう。
同人をやってる人の中にはプロを目指している人もいて、プロになったら特に新規のキャラクターデザインがやりたいという人も多いと思います。

とはいえ、プロ絵師の中にもデザインからコミコミお任せできる人と、デザインが決まってからでないと任せられない人とがいて、必ずしもみんながデザインに関われるわけではありません。
なんでかっていうと、日本の絵師は同人時代に二次創作しかやってないから。
オリジナルをやってない人に、オリジナルが任せられるわけがありません。

てなわけでデザインの基礎の話。

とはいえ、今回はタイトルで「簡単」とか釣ってすいませんって感じなんですが、正直デザインは簡単じゃないです。
当然です。
無から有を作り出す作業なんですから、そんなに簡単なわけがないんです。
なので今回は、本来デザインが出来てもおかしくないレベルに達している人にとっては簡単なやり方、という感じの話になります。

たとえばキャラクターデザインとかでも、教則本を見ても「女の子を描き、そこにパワードスーツを着せます」みたいなすっごい乱暴な説明の仕方をしてある本しかなくて、どういう考え方で何をすればいいのか書かれてないことも多いので、そのへんを補足するようなコラムです。
模写レベルが幼稚園児級の人でもプロ並みのデザインができる方法論とか、それはさすがに分かりません。

1. 前提条件

そこそこクオリティの高いデザインを行うには、最低でも以下のスキルをマスターしている必要があります。

1. クロッキー(速写)でもそこそこの細密描画ができること

デザインは、頭の中で考えたものがホットなうちに紙に描き起こさなければいけません。
人間は、雑念からアイデアを浮かべた際、1分くらいでそれを忘れてしまうといわれているので、忘れる前に描き起こさなければいけないからです。
その瞬間に考えたことを、あとから絵を見れば思い出せるくらいの細密さで、かつ忘れる前に素早く描けなければいけません。

2. アイデアの引き出しが多いこと

絵の中のある要素を見て、どうすればもっとカッコよく(かわいく)なるかのアイデアを、とにかくひたすら出し続けるのが基本的な手順になります。
ですのでアイデアの引き出しがそもそも少ない人できません。
何かギャグを言ってと振られても引き出しに「ためごろう」しかないとか、そういう状態ではダメです。
少なくとも自分自身の得意分野について、どんな「種」が来ても10個20個くらい軽くアイデアが出る、くらいの力が必要です。
(ただし、だからといってとっさに答えられる必要は特にありません。じっくり考えればいいアイデアが出るならじっくり考えればいいのです)

3. ベースとなるものに造詣があること

服のデザインをするなら被服の、自動車のデザインをするなら自動車の、ロボットのデザインをするならロボットの、それぞれのジャンルに対して相応の知識がなければいけません。
これは、そのジャンルに詳しいかどうかではなく、愛があるかどうかの問題です。
 
どんなに口先だけで好きだと言ってても、自動車のことを何も知らない人が自動車のデザインはできません。
逆にそのジャンルにどんなに詳しくても、老害からはイノベーションは生まれません。
ことデザインにおいては、この世で美しいものはただのみなのです。

もちろん、上記3つが完璧でないと挑戦する価値すらない、ということではありません。
現時点で能力がないのなら、自分を鍛え上げればいいだけのことです。

特にデザインは、素人さん達から「生まれつきのセンスがないと無理」などとうそぶかれがちなジャンルです。
そのため同人絵師としてある程度のレベルのある人でも、意外と「自分には無理」と思い込んでしまっていることも多いです。

ですが同人制作であれば、別にプロ並みのデザイン力がある必要は特にないのです。
下手でも不恰好でも、練習だったら問題ないのですから、どんどん挑戦しましょう。

とはいえ、勝てない勝負はしない系の人は、まぁ、好きにすればいいと思いますが。
そんな人はそもそもプロ絵師にはなれませんけどね。

2. ベースを用意

当たり前ですが、デザインをするなら「何を」デザインするのか決めます。
ただし細部があいまいなものはダメです。
頭の中にそもそもイメージがないものをベースに使うと、どこをどう描いたらいいか分からなくなります。

たとえば主人公が普段着る服であれば、ただ「服」ではなく、「制服」「Tシャツ+ジーンズ」「着物」「背広」など、一般的なイメージがパッと湧くものをベースにした方がいいです。
それか、ベースにするものの資料をちゃんと用意しておくか。

デザインは基本的に頭の中での作業になるので、イメージが存在しないものをデザインすることはできません。
特に描き慣れたものほど何となくで描いてしまう、という人は要注意です。

なお、ベースに用いる対象については、当然のことながら著作権のあるものを使った方がクオリティは高くなります
いつまでたってもデザイン業界にパクリがなくならないのはそのためです。

ですが実際にコミケに出すなどの売り物をデザインするときには、著作権ないものをベースに使いましょう。
これはデザイナーとしてのプライドの問題です。

3. モチーフを用意

で、キャラデザには、何がなくともとりあえずモチーフが必要です。
モチーフがなくては何も始まりません。
別に挑戦するならモチーフなしでやってもかまいませんが、最終的なクオリティは必ず低くなります。
モチーフは必ず用意しましょう。

具体的に何を使うかは、ぶっちゃけ何でもいいのですけど、「ベースとは全く関係ないもの」で、かつ「それを実際に使う人と関係する」ものがいいでしょう。
たとえば主人公の普段使いの服であれば、洋服とは全く無関係なもののうち、主人公が好きなもの(そういう設定のもの)などを用いるといいです。
主人公がかわいい女の子で、ケーキ作りが趣味という設定があるなら、「ケーキ」とか「調理道具」なんかがモチーフとして使えます。
(ベースと違うところは、モチーフは「概念」や「不定形のもの」など、はっきりイメージできないものであっても構わない点です。「規律」や「炎」などもモチーフに使えます)

ただし選び方によっては、ベースとモチーフが巧く結びつかないような、そういう感じがすることもあります。
そんなときは、モチーフを変えてみたり、2つ目のモチーフを加えてみるのも手です。
要はアイデアを出すためのきっかけとして使えればいいので、別に難しく考える必要はないのです。

なお、なぜモチーフが絶対に必要なのかというと、(この部分は認知心理学の難しい話)

4. デザインするものをパーツに分ける

で、具体的なデザインに入るときは、まずは「ベースとモチーフの中間の形」を基本に、ざっくりと大雑把に描き起こします。
何をもって「中間」とするのかの判断が腕の見せ所です。
モチーフ通りの着ぐるみみたいなものを描いてもいいし、ベースデザインのダメなところを徹底的にけなしてそこを修正するんでもいいです。

で、次にパーツをざっくりといくつかの部位に分解します。
小さなブローチなどであれば必要ありませんが、洋服や工業製品のような大きなものは、全体を1つの塊と捉えると巧くデザインできないことも多いからです。
特に「二足歩行ロボット」や「バトルスーツ」など、実在しないものをデザインするとき、その傾向は高くなります。

それから、複数のパーツに分けてそれぞれ個別にデザインを行います。
頭の中で自然に分かれる場合は一括でやってしまって構いませんが、どこから取りかかればいいか分からない場合は分解します。
服の場合は「袖」「手」「襟」「胴体」「下半身」「靴」など、自動車であれば「グリル」「ライト」「ボンネット」「フェンダー」「キャビンフレーム」「ドア」「リア」「ウィング」みたいな感じですかね。

適当に分解してそれぞれ個別にデザインし、あとでくっつけるのです。
ブレインストーミングで色んなアイデアを出し、様々な試作をします。
クロッキー帳にとにかく描き殴り続けます。

モチーフを統一させておけば、あとで組み合わせたときにおかしくなるというリスクはさほどありません。
とりあえず今は思い切っていろんなことをやりましょう。
想像するより妄想する」という気持ちでいた方がアイデアも出しやすいです。

この工程はとにかく「考える」しかなく、教則本通りにやれば完成する手順といったものはありません。
今までの自分自身の記憶を総動員して、一番美しいと思うデザインを考え出してください。

で、全てのパーツが完成したら一度くっつけてみてバランスを見ます。
別々にデザインしたものをくっつける作業をするときは、なかなかウキウキする楽しい瞬間です。
くっつけた結果バランスが悪いようだったら調整を繰り返します。


通常多くの人は数をこなせば自然にデザインがテンプレート化され、似たものを考える際により素早くデザインできるようになります。

当コラムの “1. 前提条件” を満たすレベルの人であれば、「女子高生を描け」と言われた際、いちいち参考写真をどこからか引っ張ってくることもなく、何となく自然に「これは中学生でも大学生でもなく女子高生だ」と分かるような絵が描けるはずです。
これは、数多くのイラストを描き続けたことで、女子高生のテンプレートが頭の中に出来上がっているからです。

同じように、デザインもある程度のテンプレートを頭の中に作っておくことで、通り一遍の簡単なデザインであれば深く考えずに自然にできるようになるかもしれません。

ただし、とりわけデザインは完成品の「個性」が重要なので、あまりテンプレートに頼りすぎるのも問題です。
テンプレートも頼りすぎればただの「思い込み」です。

なので、頭の中にテンプレートが出来上がっていると感じたら、それをただ純粋に喜ぶだけではなく、テンプレートから外れたこともたまにはしてみた方がいいでしょう。
その方が仕事の幅も広がるはずです。